詩人:アル
その少女は
外に出たがらなかった
母親も頑固に反対した
それでも
説得を続けて
なんとか少女を
外へ連れ出すことに
成功した
半日楽しく過ごした、
その帰り道に
少女が突然
「…停めて」と呟いた
「どうしたの?」
怪訝そうな
ボランティアの青年
「いいから、停めて!」
少女が語気荒く叫んで
とうとう
泣き出してしまった
スカートから伸びた
少女の足を伝わって、
オシッコが滴り落ちている
青年は
車椅子を押すのを止めた
彼女が
外に出たがらないのは
それも
一つの理由だった事に
初めて気付いた
しばしの沈黙のあと
青年は意を決したように
車椅子の少女の前に立ち
「ぼくを見て?」と言った
青年のズボンの前に
液体が見る見る滲み始め
それは
ゆっくり内太股を伝い
スニーカーを濡らして
地面に水溜まりを作った
「…これで
おあいこだね?」
明るく笑って言った
青年の頬を
一筋の涙が零れ落ちた
少女も照れたように
笑いながら泣いていた