詩人:どるとる
僕がつかんだ
君の手は
ふるえていた
夜の片隅で
ふと空に目をやれば
視界の端で星が落ちていった
なんとなく そばにいるだけだ
だけれど 嫌いなわけじゃないのさ
なんとなく素直になれない
何も言わないまま
流れる時間の中を泳いで
真っ暗な夜の海の中をただよう魚のように 時々口をパクパクさせては 何かを言いたげに 君をちらちら見る
そらした目の先
月が輝いていた
愛の言葉も
優しい言葉も
何ひとつ無いけど
きっと僕らは
大切な時間を過ごした
わかってる
君も僕を好き
僕は君が好き
ゆっくり近づいてゆこう
何度も何度もこんな夜を繰り返して
数多の時間を泳いで
たどり着く朝に
大きな欠伸をして
カーテンをひらいて
単調なストーリー
つづいてゆく日常
平凡なタペストリー
消極的なふたりの待ち人
今夜もただ 流れる星を目で追っかけて
時々目配せ
しばらくは
こんな調子さ
言葉は眠りの中さ。