詩人:ヒギシ
爪先で蹴った小石が、車道へ転がった。綺麗な白い車は、街路樹の脇の草を揺らして素早く走り去る。小気味の良い音がした。粉々の石を、目を丸くして、じっとずっと見ていた。その丸い目が小石のようでカァ、とカラスが鳴くから僕は慌てて両目を覆う。電車の中の、綺麗な白いシャツをじっとずっと見ていた。