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[9583] ちいさな羽音

詩人:りんくす


救い猫に出会った頃
一人籠った部屋の中
夜更けの窓辺
かげろう色した
蚊がもがいていた

窓の外を目指しているのか
幾度となく舞い上がり
その度に
力尽きたように
落ちてゆく

それでも蚊は
飛ぶのをやめなかった

思わず開けたガラス窓から
開放されて
闇の中に消えたあの蚊の命の長さは
あとどれほど残っていたろうか…


それから数年の間
蚊をパチンとすることができない自分がいた

蟻を避けて
自転車で何度か転びかけた


ちいさな羽音の
おおきな命


2004/03/09 (Tue)
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