詩人:かものはし
私は悲しまない
全ての書き損じの詩があなたに届かなかったとしても
私は悲しまない
秋の風に心の暖かさまでもを奪われたとしても
私は悲しまない
友人達がそれぞれに希望を持って生きていたとしても
私は悲しまない
雨に濡れた野良猫がじっとこちらを見ていたとしても
私は悲しまない
死んだ人のことがふと思い出されたとしても
私は悲しまない
親の苦労が解ってしまったとしても
私は悲しまない
本音を言わぬまま君と別れたとしても
私は悲しまない
不吉な予言が当たったとしても
私は悲しまない
マンションの明かりが一つ一つの家庭の灯火だと感じたとしても
私は悲しまない
手を繋ぎ寄り添い歩く2人を後ろから見てしまったとしても
私は悲しまない
あなたを思い出さないようにする試みが失敗したとしても
私は決して悲しまない
私は強いから