詩人:微笑人
私の部屋にはワタシが住んでいます。
彼女は外へは出ません。
「人間なんて死ぬまで一人。うっとうしい人間関係なんてまっぴらよ。」
と彼女は言います。
彼女は強い女です。
彼女の言うことはいつだってかっこよくて、私はいつも彼女のいいなりです。
彼女はとても警戒心が強いみたいです。
「そんな奴は信用しちゃだめよ。あなたみたいな子を本気で好きになるわけないでしょう。」
彼女の言葉には説得力があります。
一日の終わりには、今日あった出来事を彼女に報告します。
私の考え方は幼稚なようで、彼女にいつも叱られます。
けれども私は知っているのです。
彼女は誰よりも繊細で泣き虫で臆病ものなのです。
人が嫌いなのではありません。
人が大好きなのです。
彼女はときどき私を抱き締めます。
「ワタシが嫌いなのでしょう?嫌いならワタシなんかの話を聞いてくれなくていいのよ。ワタシは一人が好きなんだから。」
私は彼女が心配です。
強くて傲慢で自信家の彼女。
私はそんな彼女の唯一の友達なのです。
いつか彼女に打ち明けたいと思っています。
「あなたが大好き。」と。