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詩人:桜井 楓
あなたと暮らす毎日のなかで
最初は何も必要なかったんだ
嬉しくて 楽しくて
ただ いるだけで幸せだった
いつのまにか
少しずつ 何かを必要とするようになって
それを互いが求め合い 話し合い
時にぶつかり合うこともあった
幸せを必要としていたんだ
やがて 時々ひとりの部屋で
振り返ることもあって
何を求められているのか
そして 僕は何を求めようとしているのか
でも 分からない時もあった
人と人の関係性は
欲と欲の摩擦が生じるもの
あとどれくらい経てば
分かり合えるのだろうか
ふと そう思うことがあるけれど
最初は何も必要としていなかったはずだ
なぜ必要となったのかは
それ(いるだけで幸せ)を当たり前のように扱って
無いものにしてしまったからだろう
最期の時になって
どんな身になっていても
それ(いるだけで幸せ)をまた実感すること
でもそれは
最初の頃とは違う
毎日という 長い月日という重みが
それ(いるだけで幸せ)を感じさせている
涙が溢れてくるのは
そのせいだろう
いまはまだ その最期ではなく まだ途中にいる
何が大事かなんて 言うまでもなく
思うまでもないはずなんだ
互いのなかの自分が邪魔をしなければ
何も遮るものはない そして
「好き」は続いていく
月日が経って 姿形が変われども
その根底にあるものは変わらないのだから
今日もあなたと暮らせることで幸せ
一途にときめく心を
昨日のことのように思えたなら
明日もきっとそう思えるだろう
素敵な日々を過ごす為に
ずっと続けていく為に
芽生えた愛は
そのままに…