詩人:どるとる
時の流れの儚さを垣間見た気がするのは毎度の事で
ちょうど空が夜に傾くか傾かないかの夕暮れ時だったりするんだ
日曜なんて休まるわけがないぜ 平穏の時は残酷なほどあっけなく終わるから
明日もまた吹き荒れるんだろ 誰かの威張り散らす声が飛び交う憂うつ極まりない日々の砂嵐が
風の吹くまま
気の向くまま
生きてきた僕はちょっとした風来坊かい
旅人を気取りながら口笛吹かす僕と
黄昏色に染まった空
そんな世界にいる
只今の時刻 午後5時
チャイムが響きます
ほらね
同じことの繰り返しなんだろう 明日も
今日誰かがこの時刻に死んだってのんびりしたこのチャイムが流れる
それはそれは無神経だ
だけれど僕にはとてもきれいな音色
それもそれも無神経だ
だけどね僕にはとても心地いい音だ
ふいに吹いた風に
なんとなく振り返れば夕日が沈む頃合いに間に合う
グットタイミングだ
世界がまばたきするように暗闇にのみこまれた
世界は今、眠った
もう何も見えない
見えるのはさびしさと強がりな性格もかなわずにどうしようもなく潤むようなはかなさだけ
ひとつ残して
勝手に今日も眠りやがる世界
永遠のものにしよう
ならば今日という日を
茜色 ともる灯り
あちこちから匂うおいしそうな夕飯の匂い たちまち家族の笑い声
永遠であってほしいそんな景色さえも消えていく いつかは
時は残酷なほどそんなぬくもりにも変わらない態度でためらいなく判決を下す
だからこそ僕ら旅人になって
永遠に旅をするのさ
風に吹かれて
砂にまかれて
世の中に天秤にかけられて時々は傷つけられて理不尽な厄介ごとを押しつけられて
それでも
ゆるせてしまうのはあまりにもこの夕暮れがきれいだから
すべての憎しみや苛立ちが抜け落ちていく
だから僕は終わりにできないのさ
この景色を忘れられないから。