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詩人:チェシャ猫
二人絡まり合って離れぬようにと
紅い鎖で縛り付けた左手と右手は
何時の間に別々の温もりを感じているの??
半径10cmの世界を抜け出した視線は
今何に見とれているの??
懐かしさよりも痛みに心奪われ
気の利いた台詞も紡げない
壊れて置き去りにしていた時計を
無理矢理蹴り起こした何処かの暇人が
舌触りの悪い傷に涎を垂らしている
想いが時間を越えて
積み重ねた言い訳が意味を失くしたとしても
君の左手に映る趣味の悪い指輪が目障りで
唇奪えない
記憶が倫理を覆い隠して
繰り返した後悔を呼び起こしたとしても
君の瞳が映す趣味の悪い面影が邪魔で
身体重ねられない
二人溶け合って千切れぬようにと
紅い糸で縫い付けた左眼と右眼は
何時の間に別々の世界を覗いているの??
半径10cmの世界を滑り落ちた誓いは
今誰と交わされているの??
世界が時間を忘れて
縛り付けた左手と右手の名残りを浮き彫りにしたとしても
君の左手に映る趣味の悪い指輪が目障りで
唇奪えない
君の瞳が映す趣味の悪い面影が邪魔で
過ち求められない・・・・