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望月 ゆきの部屋  〜 「押入れの穴ぼこ」への投 票 〜

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[11666] 押入れの穴ぼこ

詩人:望月 ゆき

押入れに顔をつっこんで
ぐるりと見回したら
天井の端っこに
小さな穴ぼこがあいていました

穴ぼこの向こうは
下から見る限りでは
ただ ただ 暗闇でしたので
なんだか怖くなったぼくは
それ以上は見ないようにと
布団を上の段に移動させました

ぼくは やっぱり
穴ぼこが気になって
昼寝もままならなかったので
布団を引きずり出して
押入れの上の段にのぼりました

立ち上がると
穴ぼこはすぐ近く。

穴ぼこをおそるおそる
のぞいてみたけれど
やっぱり暗闇でしたので
つまらなくなったぼくは
そこにストローをつっこんで
シャボン玉を飛ばしました

シャボン玉の行方を
穴ぼこからうかがっていると
ふわふわと飛んでいって
そのうちパチンッと
はじけました

それからもぼくは
暇さえあれば 
シャボン玉を飛ばしに
押入れの上の段にのぼりました

ぼくがあまりにたくさん
シャボン玉を飛ばすので
暗闇では ひっきりなしに
パチンッ パチンッ と
玉がはじけています。

シャボンの水滴が
そこいらじゅうに 
飛び散っており
そのとき
どこからか 声が

穴ぼこの向こうの暗闇の
ずっとずっと下の方に
目をやると
人々が こちらをあおぎ
草花が 満ち満ちています


ときどき人は
それを雨と呼んで


ときどき人は
穴ぼこを見上げたりします

2004/05/07 (Fri)
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