詩人:どるとる
僕の情けない1日のシーンにモザイクかけてくれないか
本当にイヤになるんだ
そんなことがあった日の僕の落ち込みようたらないんだ
だから誰かお願い
モザイクを
モザイクをかけてよ
砂嵐がいいよ
何も見えないから
僕が失敗した場面や僕がこっぴどく叱られてるシーンを無かったことにしたいんだ
涙を流して何度も自分は悪くないんだとつぶやく僕の言葉ごとモザイクかけて無かったことにしてくれないか? 神さま
都合のいいことだとはわかってても
思わず願ってしまうのはそれほど毎日が醜く見えるから
ベッドにヨコになり
大きな窓から見える
ちょうど目線に月のお尻
なんだか笑えた
ああ
だからかなあ
おかしいかもしれないけれど神さまは言っている
僕の中で
「失敗や辛い場面を無くしたらきっと生きる意義を見失うんだ、その証にこんなに悲しくても笑えてるだろう?君は強いんだ、だからモザイクなんてかけずとも生きれるよ 完走できるよ この人生を」
聞こえたのは空耳でも的を射ていた
あまりにも
だから決めたよ
もうそんなこと言わないと
ごめんなさい
神さま
僕は馬鹿でした
…睡魔に勝てずに
夢の中へ意識が傾いていきやがて何も見えなくなった
真っ白なもやの中で見たのは神さまの笑顔とその笑顔に笑い返す僕の笑顔
そのふたつの笑顔を見下ろす僕
…モザイクが隠すのは人間がつくった形ある常識外の謎なぞだけ
思えば神さまの表情もなんとなくしかわからなかったな
でも確かに笑ってた
七色のモザイクの中で神さまは僕に笑ってた
そんな夢ものがたり
僕は見たんだ。