詩人:どるとる
『さよならバイバイ』簡単すぎるかな
遠ざかる バスが
見えなくなるまで
手を振ろう
さよならするだけ
それだけの物語
でも涙は嘘じゃない
ちゃんとお別れもするつもりさ
最後のキスはどんな味がするのかなあ
最後の夜は満月かな?三日月かな?
そんなふざけた
思惑を乗り過ごした
まぬけな真面目さが
さよならの場面に涙を降らす
君を乗せたバスが
小さくなってしまうよりも早く
にじんでく景色
さよなら
はじめて言える
あの日は言えなかったから少し遅咲きだけどやっと長い夢から覚めたみたいな気持ちさ
街路灯の照らす道をひとり歩けば
よく君と歩いたことふいに思い出して
悲しくなる
切なくなる
ああ わざとじゃないのに
何度も来てしまう
この並木道
もう秋だね
もうちょっと待てば
冬だね
早いものだね
さよならという
ストーリー
忘れてしまえば
いい思い出なんてないけど君のことを思い出すたび
この心に雨が降るよ
ああぬけがらの僕は
深い海の底みたいな暗い夜の片隅で沈んだまま
浮かんでこない
在りし日の僕ら
さよなら さよなら
それだけだよ
余計な言葉は多分必要ない
さよならという
ストーリー
そっと表紙を閉じれば読み終わった本のような記憶さ
さよなら…
涙に流されていく。