詩人:ヒギシ
夢の中で揺らいだ影が笑った
僕は水から首を出して
影が泡と絡み合うのを待っていた
思い切り駆け出せば呼吸は乱れて
胸が悲鳴を上げる度
そっと道端で寝転がっては
先を越す雲を数えた
卑怯にも 不器用を理由に
マイペースなペース配分
微笑んで可愛がってくれるのは
決まって他人だった
顔を出したばかりの太陽が
反対側へ沈む前に
やって来た雲が覆う前に
視界の開ける坂の上まで行きたい
夢の中で揺らいだ影は
僕の隣で笑わなかった
乱れた呼吸に絡み付くように
さり気ない鼻唄うたってった
坂道の向こうに海は見えるかな
絶壁だって構わないから転がり落ちたい
狂おしいまでの抱擁を頂戴
ゴールが見えたらハイジャンプ