詩人:どるとる
日も落ちて
かげる遊歩道
電信柱の長い影が動く
あいかわらず
僕はいまだに
思春期から
引きずってる
悲壮感にも似た
孤独を抱えてる
小さな公園の
ブランコが風に揺れ
肌寒くなったからと
マフラーを巻いて出かける我が子にかける言葉
風邪牽くなよ
夜の片隅で
今日もどこかで
誰かが笑い
誰かは泣いて
その瞬間その瞬間を
誰もが精一杯
生きているんだろう
黄昏ている場合じゃ本当はないんだろう
だけれど
じっくり考える
時間もひつようさ
だから僕はまるで揺れるあのブランコのように
いつまでもいつまでも
同じことに悩みながら迷いながら
生きていくよ
軋んだような
声を必死に
押し殺して
立ちつくす
風の中
しずかに
目を閉じれば
心の中に
さざ波がひろがる
繰り返される
幻の日々
灰となり
消えるまで
僕はここで
強く 強く
風に立ち向かう
私鉄バスの窓から
見える景色のような
変わり映えのない
ふつうの世界で
僕は今日も
ふつうに生きて。