詩人:ユズル
ふるさとの 古いお家の
ちょうどあの 階段みたいに
きしきしいっているくらいで
飛ぶ鳥を見て 視線をそらして
風を受け 風に紛れ 紛れて
そんなことをしてるうち
日常の ちゃちな言葉じゃ
片付かないくらい
なぐさめも 届かないくらい
おちていた おちていた
ガラス瓶 飛び出した 飴玉
転がりおちる カラフルに
ひとつだけ ガラスにへばりついた
溶けて ねちねちとくっついて
どんなにもがいても もう
動けないよ 動けないよ
どうして 心を
持ってしまったんだろな
溶けだした 飴玉は
元には戻らない できそこない
瓶の口 ふち あと少し
あとひといきだったのに
こんなところに ひとりぼっち
くっついた部分 切り離さなきゃ
小さくなっても 切り捨てなきゃ
それも怖くて 悲鳴をあげて
まぶたを閉じた まぶたを閉じた