詩人:狂緋狼
最初の症状は幻聴だった
次に心が無くなった
殺気を放つほどの気の力や荒れ狂う感性を失なったけど
燃費の悪いスポーツカーから軽に変わるぐらいに
悲しみから解き放たれ楽になれた
そして二十代の後半は終わった
二度目の病気が再発した時は死ぬかと思った
また幻聴が聞こえ
幻覚が見え
身体が自分の意思とは関係なく動き
神魔には狙われ
死相は出るわ
一万年の時はさ迷うわ
幻覚で死んだ人には追いかけられるわ
心を無くした恐怖でガクガク震えるわ
生命エネルギーは無くなるわ
経本はすらすらと女の人の声で読めるようになるわ
でも思ったんだ
たとえ死んでも俺は神様を恨みません
あの娘の為になるならと思ったら
すると神様の声が聞こえて多分、幻聴だろうけど
生かしてしんぜよう
それからは文字は立体的に見えるわ
理解は後からついてくるようになり
後から思えばこの時の為に緋の悲しみを背負い
そして誰よりも優しくなれて
幻聴に出てくる人と自分の為に生きたからこそ生き残れたんだ
人からもらった二度目の人生だったけど
生きたまま神には生れないらしい
神を超えてはならぬが神様の口癖だったのを良く覚えてる
後少しで元に戻れる
頑張れ俺
無理しない程度に