詩人:レモン汁
昔むかし祭りがあった
美しい街
古くて懐かしい街の祭り
誰もが楽しく踊るように
その「ピエロ」も踊っていたんだよ
楽しそうに
[少年]が僕
街の広場で目覚めた
左の瞳に眼帯をかけて
僕は記憶喪失症候群
[昔]の記憶を置いていった
「ピエロ」は街の誰よりも
ひとりぼっちで
一番のひとりぼっちは
僕だった
街にはヒトであふれてたよ確かにヒトであふれてたの
だけどそれらをヒトと呼べるかは分からなかった
色とりどりの 紙吹雪
雲ひとつないのに 白い空
一言も喋らないヒト達
笑い声は 聞こえない
いつ始まったのか
いつ終わるのか
[ピエロ]は一人で笑ってた
[僕]は[ピエロ]に近づいた
[ピエロ]は本当に変なやつでね、どの[ピエロ]よりも真っ白だった
白い衣装に
白い化粧の顔に
まっさらな心
記憶のない僕よりも純粋で
真っ白だった
僕は[ピエロ]に聞いてみた
「何でそんな可笑しいの?」
[ピエロ]は笑いながら
泣きながら
呆れながら
楽しそうに
こういった
「オカシイのは
私よりも
こんな狂った世界で
冷静でいられる
君の方さ」