詩人:漣福堂 九欒
特にこだわりがある人間じゃないけれど。あなたが買ってきた紅茶は、なぜか今でも続いてる。紅茶の礼儀も知らない私たちだったけど、見よう見まねでいれた最初の一杯の魅力を覚えているだろうか。窓際でありあわせのマグカップを片手に笑ってみせた、笑顔のどれほど眩しかったことか。あの日、私の心を満たしたものが、この香りでないと気付いたときから。マグカップの中の紅は、思いのほか冷めるのが早い。