詩人:1986
君の声が聞こえた 僕は
勘違いしていた
まだここにいてもいいんだと
眠っていいんだと
青い部屋に沈む吐息は完璧で
僕の心に射す夢を支配していた
さよならの歌が流れるとき
涙の中で
手を振る君がいたことを
僕がいたことを
恋は何も強くしなかった
なびく稲穂の波を眺めながら
立ち尽くし
立ち尽くし
声は枯れ 草木も枯れ 細く細く
その続きはここで視て 泣いて
愛されたことを 抱かれたことを
背中の温もり 傘を差す腕と硬い唇と
聞き取れない声 遠く叫ぶ
眠ること
目覚めてから喋る
白い部屋で羽の舞う部屋で