詩人:木菟
もう世界中探し回ったってどこにもないものを欲しがったこと
蝉が死んだこと
見渡せば 全ての生命は静かに 世界を受け入れていたこと
遠くで自動車が真っ直ぐに走り去っていった不思議に思えたこと
君の近くに居た冬のこと
食べてみたいような舐めてみたいような不思議な水晶体のこと
綺麗な緑と水色と猫とカーテンの素敵な絵のこと
まだ痛く感じる静寂のこと
夢見がちなポケットのこと
キャンプファイアー もう誰の顔も僕の顔も 見えない 蕩けてしまったかのようなこと
猫がチーズを舐めていたこと
そのあと無心に毛繕いしていたこと
私はお腹が痛かったこと
走っても眠っても魔法があっても君にはなれないこと
魔法がないこと
どこにもないものを欲しがること
冬の冷たい空気にもうなんだか耐えきれないような不安な気持ちになること
きっと実際は酷く疲れて冷えきって死んでいたこと
二度と愛せないのかもなんて 一度吐いては 訂正
今日の夢の中オレンジ色
わたしは黒い幕に隠れて目で追っていた
たった1日を焼き付けてることと すっぽり失ってしまっていること
黙りこめば泣きはじめるよ
どれだけ耐えてきたのだろう 誰かも 誰かも 誰かも あなたも 誰かも
四季を巡る 1日の隙間に 覚えている 忘れかけた 忘れた 顔を
すこし思い出します 確かな鼓動を 想います それだけを
悪戯に描く勝手で自由で愛らしい感情は 感情
何も見えぬ夜は猫を抱いて 夜空を飛んでいます
見つけてくれませんか ごめんなさい
そう言ってみたかっただけなこと
唯一なんだ 淋しいのは あたりまえなのさ
見せれないから 伝えたいんだ 見せたいんだ
夜空を飛んだ感覚 忘れられないんだ
すごくすごく気持ち良かったんだ
でもすごくすごく寂しかったってこと