詩人:おるふぇ
あの日は確か
雪が降っていました
人通りの少ない路上で
夜にぽつりと一人
見上げた雪が
地上に落ちると
あまりに弱く
あまりに脆く
その存在
その命は
無限の闇へと
すぐに溶けて
消えてしまう
まるで僕らが
二人だった時間のよう
12月のある日
僕らは手を繋いで
イルミネーションで
キラキラと装飾された
綺麗なもみの木を
静かに眺めていた
あたたかくて
やわらかくて
そんな気分でいっぱい
この心は満たされていた
恋はまるで
雪のようだね
目の前にあるもみの木は
真冬の寒さに堪えながら
ひっそりと春の日を
待ちわびているのかい
溶けて消えてしまった
真白き真綿の恋よ
いつまでも美しくあれ
寒い夜と思い出のクリスマスツリー
イルミネーションはもう
撤去されてしまっても
思い出はいつまでも
輝きを放つ
雪を手の平にすくい
もみの木のてっぺんを眺めながら
そっと願うよ
君の幸せと僕の未来
吐く息の白さに
身を震わせながら
この願いよ
星に届けと