詩人:風凛
いいのか、これだけでいいのか。
オムライス680円。
今日は急なミーティングで昼食がとれなかった。そこで、金もないしコンビニで済ますかと。だが、ある食堂の前で俺の節約魂はころっといなくなった。
食堂で遅い昼ご飯を食べていると、買い物袋をもったおばあちゃんが入ってきた。おばあちゃんは俺の横を通り、店の奥へ消えた。シェフのオジさんの家族らしい。
愛想のいいシェフのオジさんは黙々とオムライスを作っている。今、店には俺とオジさんしかいない。
ドレッシングが切れた。オジさんは何事もなかったように大瓶からドレッシングを追加してサラダにかける。
そのうち、おばあちゃんが厨房にやってきて、新しい卵パックから卵を出す。
俺は水をちまちま飲みながら厨房を見てた。
客なのに、だんだん申し訳ないような気持ちがしてきた。
…アツアツの特性オムライスが出される。心なしかこの前来たときより多く見える。この店のオムライスの中身は白いライスだ。そしてそこに大量のミートソースがかかってる。みんな俺のために。
680円では安い。
いろんな意味で、ここはコンビニ弁当じゃ到底味わえないイイものがある。