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詩人:明希
くわえた
底入れの端末が
時代の速度を
示すやうに
ジリジリと
音を立てて
形を失いて
足跡を残して
消えてゐった
灰色の空
低い空
指先から昇る
煙は霧の如し
空に浮かぶ
闇雲は
肺をくすぶる
曇らす霧の様
空に同化する
視線の先を
くゆらせた
紫煙と暗黒が
心の憂鬱
見えませぬか
望んでも
望みきれぬ
差は距離と
計るには
遠すぎる
近いものほど
距離はなく
近すぎる所以
手には届かぬ
思ひ出を
比べながら
君を思ふ今日
指先の芸術
灯す朱
御線香
代わりにと
空を見やうて