詩人:匣
彼は私のカミサマだった
大好きで大切で愛してた
彼から与えられる愛は
少し、怖かったけれど
彼の孤独を識ったから
彼の依存も理解できた
結局は私も彼を愛してたから
それなのにどこで狂ったのか
ある夜彼は私の首を締めた
苦しむ私の頬に落ちる、雫
「―嗚呼、泣かないで」
手を伸ばし彼を抱き締めて、
緩められた手を引き離して、
まるで子供の様に泣き続ける
彼をあやすしかできなかった
「―ごめんね」
彼から次がれた言葉。
何故謝るのか解らない
与えられるぬくもりで
いつもみたいに暖めて
愚かな私は気付かなかった
私達の楽園が狂気に染まり
罅が入りはじめている事に
許されるなら、還りたい
笑いあった、あの頃に―