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[15299] 木箱

詩人:野上 道弥

学校の課題で作ったこの木箱が生まれたのが12年前

 その木箱にはノートを千切った手紙が入ってた

そこだけ時は止まってた

 開けて見返せば懐かしさの塊が顔を覗かせていた

まだ学生服を着ていた頃は妙に純粋な感性と

 青臭い恋愛がとめどなく溢れていた

「好き」を「好き」と言える気持ちは何時頃どこかへ行ってしまったのだろう

 あの頃の僕は今の僕を想像出来なかったに違いない

それほどまでに僕らは大人への道を歩いていたんだ

 あの時愛した人達とは今会うことは無いだろうけれど

あの頃愛した人達も今の僕を想像出来ないだろう

 僕は今幸せです って

胸を張って言えないから逢えない事が幸せだ

 でもあの時愛した人達に会ったら

遠く離れた所に愛する人がいる とは言える

 あの時見出せなかった答えはその人が持ってると

胸を張って言えるだろう



 この木箱はまた眠らせておこう

次に開ける日が何時になるかは分からないけれども

2004/07/27 (Tue)
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