詩人:さみだれ
彼女は色とりどりの花を並べて
ひとつの花瓶に挿した
窓から入る夜風に
花びらがひとつ離れて
枕元に落ちた
それからは夢の中
月が見せてるんだって気付いていた
だから朝が来れば
終わってしまうんだって思った
彼女は空が好きだった
どこにいても空を見上げて
そのたびに思いを馳せていた
頬を涙が伝うこともあったし
にこにこすることもあった
今この空は
彼女にとってどんな感情になるのだろう
素晴らしいって言いたかった
どんなことがあっても
世界は変わらない
そう信じていたから
あの日海に行った彼女は
泣いていたのだろうか
あの日海にいけなかった僕は
何をしてやれただろうか
夜は長いから嫌だと彼女は言う
昼は一緒にいられないから嫌だと僕は言う
彼女はいつも太陽のように笑う
遠くでは月のように暗い顔をした僕がいる
宇宙からすれば
それは長い長い距離なのだろう
ここからすれば
なんてことない時間のズレだよ
なんてことない距離なんだよ