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[145164] それは現実よりもリアルで

詩人:栢徠

フェンスの外側に立って目を閉じる
そのまま一歩前に出れば
身体は風に包まれる

心地よい浮遊感は一瞬
うるさい程の風の音を聞きながら私はおちてゆく

落ちる
堕ちる


それはいつまでも続く気がして
ふと目を開ければ地面はもう目の前だった

衝撃と痛み
それもまた、一瞬


生命の証は私を見捨て
溢れ出したそれは私を染める
それは私の生きていた証




そこで、目を開ける
目の前には変わらす目を閉じる前と同じ光景

今日も私は死んだ
日課になりつつある『自殺ごっこ』
ほんとに死ぬ勇気などなく
むしろ死ぬつもりすらない

私はゆっくりとフェンスの内側の世界へと戻る
向こうの世界の私はもう死んだから


理解なんかされなくていい
理解してほしくもない
だって、理由なんて無い

ひたすら私の中の私は死んでいく
きっと、明日も私は死ぬだろう




(でも、心のどこかで救ってほしいと願っていた)

2009/07/02 (Thu)
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