詩人:どるとる
今日も大変にお疲れのご様子でご帰宅さ
さんざん社会の風というやつに痛めつけられてきた
僕にはやたらめったら誰彼かまわず切り刻むつむじ風も同じで
重い足どり 開くドアは深緑色
着替えもせずに倒れるようにベッドに向かい身をあずける
ため息で白く曇る眼鏡
かすかに見えた三日月を最後に意識はなくなる
現実と同じで冴えない夢の中をさまよいながらやがて唐突に目覚めれば寝過ごして慌てて支度をする
そして繰り返す
明日も今日と同じ生活を
変わらないことが幸せというならそれは僕には間違えだ
だって変わらないということはとても不幸なことだからさ
変えようと思わない気持ちが変わろうとしない気持ちが変わらないことは一番
だけれどね
今日という一日の虹をわたればすぐにそんなひそやかな悩みさえどうでもよくなる
今日は今日のこれ
明日は明日のあれ
あれやこれやであれよあれよというまに過ぎてゆく日々
浪費していく時間
気力と体力のムダ使い
いろいろあれどもほんとのとこは別に今この時が平穏ならいいと笑う
だって今といういくつもの今の積み重ねで未来がつくられるならそれなりでいるだけでそれなりの未来が出来上がる
ただ僕はそれを待つだけだ
多くを望まない
僕にはたいそうな未来など要らない
だからそんなに頑張る必要はなくほどほどに生きていくだけ
それが今のところ僕の気持ちです
夢から覚めたら
そこはいつもの部屋
カチカチといつまでも時を刻む古びた目覚まし時計と買ったはいいが飲み忘れてすっかり冷めきった缶コーヒーが整然としたこの部屋の空気にとけこんでいるだけだった
そしてふたたび虹をわたれば僕はもう昨日の悪夢がまるで夢だったかのようにへらへら笑うしまつ
しまりのない笑顔
生活までもがしまりのない乱れきった稲妻のようなくだけた流れ
そんな現状にただ立ちつくす。