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[148085] 平リーマンの夜と夜

詩人:どるとる


王様でもないのに態度は人一倍王冠かぶった王様のようにガハガハ笑う厄介者
偽りの王様
裸の王様よりはた迷惑だとの噂あり
王冠をかぶった僕
鏡で見たら醜いこと醜いこと
今更気づいて
ちょっと涙
ちょちょぎれて

見えない王冠
そっと脱いだ夜
代わりに
ペリカンの人形に
かぶせたふりで
久々に反省した夜
めずらしく
眠れなかった夜
犯した罪は金の王冠の値段でも払えないくらいで

どうかこんな
無様なわたくしを笑ってください
でももう失うモノナド何もございません
意味を無くしたこの王冠以外は
光沢を無くしたこの王冠以外は

跳ね上がるボールみたいに視界をふいに空に飛ばせば
あり得ないほど月がきれいでなぜか涙があふれた
ああ 僕は今まで何をやってたんだろう
王様なんてなんの得にもなりゃしないのにね
反省するばかりの夜
王様は王様をそっとやめた
姫も王子も兵もお妃も何もついてないさみしい王様をやめた
やめた

今じゃただのサラリーマン
あの王冠はやっぱり僕には必要でなかった
心変わりは
ちょっとした自信を生み出した

これにて王様とはおさらば
あの日の夜が蘇れば反省の色も濃くなる
リーマンは苦笑いでそんな気持ちをそっとかばった
元王様は今じゃただのリーマン
社会の最下層の住人
そして平の中の平
下の下の男

だけれど王様なんかよりはずっとマシだと笑った 月の夜
見上げた空には流れ星が駈けていく
そして願うのさ
流れ去るまえに
「どうかこのままの僕で」

王様の威厳や品格は面影もなく
それはそれはもとからだけれど
それはさておき僕の明日の予定はなんだっけ?平だから何もねーや

幸せなほどめぐまれた人間です
リーマンはリーマンである自分を褒め称えた あたりまえなほどそこにある月と変わらないことが規則のようないつもと同じ夜に。

2009/09/30 (Wed)
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