詩人:剛田奇作
爪 すぐ何かにひっかかる 爪 空に傷をつける そして風邪をひかせた私は 喉で笑う 迷惑メールを消す日課 爪 ひび割れはカルシウム不足から溶けかけたコーラの飴のはじに刺しこんでこっそり あの雨の日バスのシートに傷をつけた 噛むと自転車を思い出すゴムのハンドル 汚れて 端っこがさかむけている 曇り空によく爪でキスする爪でなら裏切りにはならないから野良猫に見られると気まずいけれど