詩人:どるとる
僕は何も知らない
自分の名前さえ知らない
自分の住んでる街の名前さえ知らない
名前の無い花だから
名前の無い空だから
名前の無い家だから
名前の無い石だから
僕も最初は名前なんて無かったんだ
僕を生んでくれた人がつけてくれる前は名無しだったんだ
でも名前をもらってから僕は名前を持った
名前を持たない物たちは名前で呼ばれることはない
同じ花も同じ草も
ひとつの名前でしかないから
その花の名前はその花の名前であってその花の名前では無い
ひとつしかない空だって
空を流れる星だって
浮かんでる雲だって
その物の名前はあってもちゃんとした名前は無い
だから名無しさ
名前の無い何かを名前で呼ぶ時
僕はその物の名前を呼ぶけど同じ物なら
同じ名前で呼ぶから
指を指さなければどっちかわからないね
名前の無い命にもしも名前をつけてあげたら素晴らしいのに
花は花で
空は空で
石は石で
そして人は人で
名前が無ければ
見た目でしか判断できない世界
君の名前はなんていうんだい?
名前は無いんだ…
それじゃ悲しいね
だから名前をつけてあげましょう
素敵な名前を
名前の無い命に。