詩人:愛
貴方が出て行って気付いた事がある。
この家は、こんなに広かったんだと。
貴方の荷物も貴方自身もいないこの家は、
大きな空間を生み出した。
その空間がどうしようもなく寂しい。
まだこんなにも貴方の香りが残っているのに。
会いたいよ。
早く帰ってきて。
そうただ願う毎日がじれったい。
今からでも追いかけたい。
毎日毎日、部屋の隅でひざを抱えて、この衝動をひたすら抑える。
こんな事なら、初めから出会いたくなかった。
いや、そうじゃない。
貴方がいないと何も出来ない自分が嫌なだけ。
今でもね、ほら。
二人分の食事が私をさらに苦しくさせる。