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詩人:トケルネコ
雨音はランダムに時を刻む
波の音は規則正しく日々を告げる
広げたキウィの皮はなんだか淋しそう
甘酸っぱい果肉が朝にはいっぱいだったのに
昨日の事のように思い出す
美しい肌の母
逞しい腕の父
優しい眼差しの祖父母
息を吸う度に、吐く度に哀しみは色づいては揺れる
梅雨の涙に紫陽花が染まるのか、白いカーテン越しに優しく滲んでいる
どこまでも独り言のよう祈ってはいても、神さまなんて地上にはいない
まして空には白と、その先の黒と、指先に納まる疎らな光くらい
猫が柔らかい寝息をたてている
風がレェスのカーテンを孕ます
雨は天上の言葉を燃焼させてるみたい
美しい夜に思い出す
太陽と月の輪郭
傍を流れる群雲
誰かの生き写しの生命達
想いが想いを呼ぶように
大地に音を張る歌のように
今、穹が泣いています