詩人:剛田奇作
暗闇には 白い線が引かれた
それはただ
鋭く、濃く、細くて
光っていた
線引きで書いたように真っすぐに
直線は、痛い
その痛さに気付いてからもう
どれだけ経ったのか
それは 冷たい光
私の瞳孔に入り込んでくる
光の線はレーザーで
私の身体の隅々までも
サイコロカットにしてしまう
排気ガスだらけの私のユートピア
私の命の島
穏やかな夕刻
鋭く尖った 電信柱の影が私を刺している
罪人を真っすぐ
温かいほどに
やはり真っすぐに
殺風景な灰色のコンクリートに
立ちすくむ私
電信柱に感謝
それは真っすぐの痛み
私は昔から
電信柱が好きだったのだ
いつか登って
フライドポテトを食べよう
それから
あの人に会う
そして何度めかのサヨナラを言う
養老院から飛び出した売春婦
私はそう
ゴミ捨て係の最高責任者
私はそう
最寄りの駅でくすぶる
使徒
Gパンとナプキンを身につけコンビニでカレーパンを買う
使徒
ゴミはきちんと持ち帰る
使徒