詩人:トケルネコ
薄く、割れた爪が染まる
焦土のような空が今日も悶える
見つめていたのは、あなたの横顔
私は半分の顔で笑っている
祈りは静かに湖面の色を深める
野火が微かに丘の教会を紅くとかす
世界中の死者が密かに別れを告げる時
その視線の熱さをあなたは感じた?
風が 一面の麦穂を揺らす
紐のようなカカシが遠く呼んでいる
水を求めた旅人は砂袋の重みに手首を折ったの
哀しみは月のない夜に広げる無地のシーツね
明日のない骸は白い喉仏をいつまでも震わせている
私の顔は海草に半分覆われてしまった
風が 豊かな実りの穂を揺らす
巨大な鳥の影が黄金の景を切り取る
丘の上の尖塔の中で私はそれを見ている
あなたはカカシのよう、まだ迷ってる
何処からか無数の手が伸びてきて 私の背を優しく押した
その度に 私は悲鳴も上げず
墜ちていく 何度も何度も
黄金の海原へ 溟く冷たい無言の海底へ
何度も
何度も
何度も