詩人:ヒギシ
すぐに消えてしまうこの白い溜め息が何やら急に愛しくなって両手で捕まえたのだ消え損ねた彼は少し不機嫌に僕を睨みちぇ と舌打をして足元の雪に重なったそう怒るな、固めて雪兎にしてやろう溶けるまでの時間はまた少し延びるけれどぎゅうぎゅうと押し固める僕の手の中でまた小さく舌打をもらす溜め息南天の瞳を飾る赤い目をして泣いてるのかゆっくり溶けるまで少しの辛抱だはぁ、とひとつ溜め息を吐いて鼻先をじわりと溶かしてやる