詩人:甘味亭 真朱麻呂
きみの声が不安げに微か掠(かす)れたようにきこえる
僕はいつも確かめてる君の気持ちの揺らぎに心泳がせてる
ああ…いつも側では笑っているキミも本当はわんわん喉をふるわせて泣きたいんだよね
わかっているよ
わかっているよ
もう何度同じ言葉ばかり繰り返しただろうな
きみのこえ…きみの表情…きみの仕草のひとつひとつ 見極めながら注意して目を向け態度に気をつけながら
いつも悲しませないようにと考えるあまりほかの大事な何か見失っていたのかもしれないなあ
焦りは戸惑いを生み失敗を招く そして災いをはこぶ
涙の川がやがて海になる広がる 蒼い悲しみのあと
無意味なくらい溢れそうなほど胸を切なさと侘びしさにも似た感情が後目に重い足取りをさらに重くするばかりと支配していくどうってことはなくはないけどこの先耐えていかなくちゃならない こんな深い心の闇…この心埋めつくす悲壮感に
言えるだろうか
そんなとき僕は
闘えるのかなあ
得意な強がりも思わず揺らいで今にも泣き叫んで逃げてしまえるくらいの悲しみ
勢いづいて走りすぎた気持ちがあとになってその愚かさをおしえる 悔やむように被害の大きさを身をもってこの僕に何気なくさり気なく伝える そっと知らすんだ
傷ついて 傷ついて 人はもう
ダメもとで駆けていけばその先に光があると信じがち…勘違いがちだからね
僕もかなり惑わされてた…だまされてたらしいな だいぶ経って終わってから気付いた だけど今さらもう遅いつけられたばかの名札(らくいん)は外せない
自分の愚かさが身にしみるよ
あの日きみのこえに僕はもしきこえていたら…気付いていられたなら違っていたのにと今さらになって後悔が胸を突き刺しその傷みが目覚めさせるようにそう思わせた 思った
遅かったな遅すぎる 人は痛い思いをしないとわからない不器用な生き物だから 特に僕は。