詩人:高級スプーン
引きずっている
何処にも
届かせないように
足を引っ張って
誰にも
信じられないように
掴んだ
きみを離さない
相手が何者か見えない
此処からじゃ
きみの姿さえも
応援しても
罵倒しても
其の耳に眼に
此の声や
姿が届いても
変わらないのか
やってみないから
分からないが
他の人には無理だった
妄想の裏側に
きみが
逝ってしまった頃か
都合の善い悪夢を
度々
見るようになった
其処では
きみじゃない別人が
傍らに身を委ねて
笑っていたり
泣いていたりする
可笑しいだろ
陰る線が
集中する所に
何処までも
手を伸ばしても
辿り着かないんだ
交わってるように見えて
実は誰も
きみに触れてはいない
錯覚だ
自作自演だ
どの傷も
どの跡も
きみがつけたもの
最初から最後まで
他には誰も
関与していなかったのさ
興奮したかった
静けさを取り払って
イッてしまいたかった
切れ間の無い
あくびの出るような
長い長い後遺症
なびかせて鳴り止まない
暴言中傷浴びせて
出血多量のシャワーで
流せたのは
きみを除く全て
だからせめて
アザをつけて
鎮火させて
きみに触れたい
なんて今更
可笑しな話