詩人:甘味亭 真朱麻呂
降りそそぐ陽射しの中にみつけた光ひとつ
それは僕にやさしく笑いかけて可愛らしい
ほほえみをくれた
この僕だけに
手を差し出してくれたんだ 木漏れ日の差し込む午後の庭
人は誰も夢みる場所にたどり着きたいと願う生き物で
僕らもそんなふうに頭の中で願っていた
夢はふくらむばかりじゃむなしいだけなんだけど 叶えるために夢はあるとは限らないだろ
少しずつ少しずつそりゃ近づけば嬉しい
だけど喜びの中にはせつなさが贅沢にもついて来る
黄昏に染まった空眺め感傷にひたる僕らをせめないで
君が今まで歩いてきた
歩数だけ喜び悲しみがありその分僕たちの歩幅も少しは狭くなっただろうか
その途中めぐり会った僕はこれ以上の幸せを知らず知ったかぶりになってしまう
僕は君と出会う前の君の過去の苦しみや悩みを知らない
僕にしても君は僕の遠い過去の苦しみやを負ってきた傷跡を知らないはずさ
打ち明けられもしない傷跡を君はもしかしたら抱えているのかもしれないから
僕はそんなことも知らないのにたやすく君の過去を知ったように持ち出して安易に傷を深くさせるようななんの考えもない慰めは与えられないしな だから ラブソングは歌わない 歌えないよ何ひとつ知らない僕には 傷みは伝わらない 僕にはわからない ただしわからないからこそ知りたいんだと思う気持ちだけは決して軽はずみなんかじゃなく本気で言っていることだけはわかっていてほしいな だからこその愛 それ故の気持ち
知っている上の愛
言葉に何ひとつ二言はない 汚れなど持ち込める隙などないこと君が信じてくれた それはきっと恋 それがきっと愛
そこからは ふたりだけの世界 ふたりだけしか知らずふれられない領域さ ここから始まるのさ あの日から始まったんだふたりの本当に歩むべき未来が見えた気がしたんだ形すらわからないのにそんな気がしたんだ。