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詩人:山崎 登重雄
真白き鳥は優雅に翼をひけらかし答えた
『この世の果て』は天空の城の異名です
この翼で指し示してご覧に入れましょう
大空の彼方で太陽に焼かれ黒く煤けた烏になるとは
哀れなるかな
滑らかな体に鱗をギラつかせその魚は答えた
『この世の果て』は大深海の城の異名です
このヒレで指し示してご覧に入れましょう
極深の海底で水圧に潰され 醜さにまだ深く砂に隠れるとは
哀れなるかな
立って歩き始めたばかりの獣が生意気に答えた
『この世の果て』はこの地上の果て以外にございません
この目で確かめてご覧に入れましょう
放浪の挙げ句そこかしこにバタバタと倒れ
星の営みを侮るなどとは哀れなるかな
真に哀れなるかな
理はすべて角が取れれば見えるもの 円くなればよいものを
終わりに始まりて 何処にて終わりても また等しく始まる
尻尾を追ってまわり続ける犬が様に同じ
我が身が果てよ 夢の間に間に