詩人:虚空
何かを伝えるのに
言葉は力不足だ
君を大切に思う
この気持ちさえ
伝え切れなかった
だから僕は
詩を描くんだ
少しでも
伝わるよう
君のために
詩を描くんだ
あの夜、
一緒にお酒を飲んだ
あの夜
新しい彼氏との
いろいろな事を
僕に話しながら
『詩を読ませて』
君はそう言ったね
君のために描いた
僕の言葉の中から
いくつか選んで
君に読ませた
笑いながら読んでいた
君の頬にひとすじの涙
『そうだったんだ』と
呟きながら君は笑った
たとえ
たくさんの人に
伝わらなくても
一番伝えたい
君に伝わった
それでいい
それだけで
僕の言葉は
意味を持つ
だって僕の言葉は
君に伝えるために
存在するのだから
まだまだ拙いけど
僕の紡いだ言葉は
君のための詩だから