詩人:カクレクマノミ
ひとつあげるからふたつ頂戴
憤りの先にはただの空間
これが良い、あれは悪いと漏れてく空気
決断の指針さえイカサマの賽
手のひらの上で遊んでいるようなもの
そんなようなもの
振り返った君はよくできた人間
振り返ることを禁忌とする水槽は丈夫な作りさね
でもよく見ると小さい穴が空いてる
気づいた君はよくできた人間
賽の振り手は杞憂ではすまなくなった
足の先にぶつかる小石は確かにそこにある
そこにあるんだよ
金魚鉢の中で横たわった金魚は何処へ
底のない瓶の中の水は何処へ
ぐるぐる廻っても結局は振り手の出目を待つか
空気中に解け出した感情をそのまま受け取るか
それは自分で決めることだよ
君が決めることだよ
何かが変わったようで本当は何も変わってない不思議な水槽