詩人:どるとる
言葉をなくした詩人は声をなくしたカナリアのように
枯れ果てたのどを悲しくふるわせて
救いの声をしぼりだそうと今夜も鳴いている
窓の外には雪が降り積もって
誰かの声が聴こえる
もしも願い事がひとつだけ 叶うとしたら
僕の願い事はひとつだけ それは
また唄いたい 変わらない唄声で
のどを鳴らして
言葉をなくした詩人は詩人じゃないけど
人だから痛みは本物です
胸に突き刺さった
見えない錨を 抜いてくれたのは
出発の合図をくれた君だった
さあ また語っていこう 夜を抜け出して
朝へと飛び立っていこう
その挽カナリアの唄が街中をやさしく包んだ
カナリアはもうここには戻らない
虹色の翼
空の彼方へ
消えていく
だんだん
小さくなって
やがて消える
だけど僕の胸の中にはまだ 忘れ得ぬあの唄声が絶えず聞こえてる
聞く者の心を洗う唄が。