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[163010] 見えるものと見えないもの

詩人:どるとる


他人の心が見えないのは幸せでもある
だけれど見えないことで争いは起こる
他人の心がもし見えたなら戦争はなくなり平和が訪れるのかな
その保証はどこにも無い

きっと他人の心が見えて争いはなくなるとしたら
かわりに人のプライベートがおかされ
落ち着ける場所さえなくなった世界は
孤独と恐怖と不安に包まれるね

だから他人の心が見えないように神様が遠い昔 僕らの瞳に細工したんだよ

僕らが見えるものは
限られたものだけだ
それは目の前にある景色だったり人だったりするんだ

それだけ見えていれば見えないものは見えないままで
幸せだと神様は思ったんだろうな

だけれどたまに考える
心がもしも見えたなら救われた命はどれだけあって死ななくていい人がどれだけいたかと考えてしまう

それでも見えないものがなければ人はきっと壊れてしまう
人には見えないものがあるから人は壊れずに見えるものだけ
見える範囲で
幸せ見つけるんだね

目には見えないもの
目で見えるもの
そのふたつの仕切りが外れたなら
神様はこの世界を滅ぼす悪魔だっただろう
だけれど神様は優しかったようだ
知恵を働かせて

神様は最善の策を練っただろう

そしてこの世界は
争いはやまないもののそれぞれがそれぞれに考える脳みそを与えて
それぞれがそれぞれに考える猶予を与えたんだ

それを破ろうものならきっと幸せなんて有り得ないんだろう

だからこそ
僕らは誰かを思い
誰かの心を
見えないながらも
さぐり合おうと
頭ひねり
分かち合おうと
距離を保ち

やがて手を繋ぐんだ

平和は人の心の奥に埋もれてるだけ

そろそろ考える年頃だろう

見えないものも
やがて
見えてくるさ

多分みんな
平和望んでる

見えるものの範囲で考えたら見えないものさえも見えてくる気がする

たとえば涙する
愛する君の心も
たとえばうつむく
愛しい我が子の心も。

2010/12/12 (Sun)
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