詩人:Ray
『優しい人は 可哀相』
そう いつか
誰かが云っていた。
冷たい 春風が吹く
河辺を二人で歩いた
あの夜。
「寒い」と言った
あたしに
あなたは 何気なく
自分のコートを
掛けてくれた。
さりげない、
いかにも狙った優しさは
あたしは嫌いだと
前 云ったのに
それを知ってて
それでも
そうやって
優しくしてくれた
あなたに
勝手かもしれないけど
あたしは
不覚にも
感動してしまったの。
優しさは 難しいね。
時に 優しさのため
自分を偽ったり
犠牲にしたり
無理をしてしまうから。
優しい人は 可哀相。
でもね
あたしは
偽善や狙いなんかじゃない
あなたの
そんな優しさが
一番 大好きなの。