詩人:甘味亭 真朱麻呂
空に浮かんでいる
雲を見つめて
はるか遠い旅に出る
想像をめぐらす
頭の中にこぼれそうなほどの幸せを描いて
明日に続く扉を
今日も僕は開くよ
西日の射す部屋の片隅で小さく笑って
休み休みでいいから愛の言葉を呟くよ
いま僕たちが生きている世界はまるでひとつの大きな海原のようさ
迷い悩みそして時おり止まらなく涙を流し悲しみで心を染めながら
長い長い坂道が
僕の目の前にいつものびていくよ
そして気がつけば
君の後ろ姿にやがて惹かれていった
そうして気づけば
ほら僕らこんなふうに二人でいること
当たり前だと言わんばかりに思ってる
だから別れるなんて事考えもしなかった
考えられなかった
心にもなかった
さよなら
懐かしい日々たちよ
さよなら
その面影に手を振っていま見送ろう
いまは互いに歳をとりあの頃ずっと一緒にいようねって入っていた僕らは陽射しの中
遠い昔を思い出しながら楽しそうにはなす
そこには一瞬の汚れも嘘もないただ誠実なまでに僕の表情をほころばせる幸せがそこで笑いかけるだけさ
白髪まじりの僕の髪を見て笑いかけるだけさ お互いを歳をとったねと少し悲しいけどこれが時の流れだと誰もがそうして歳をとりいつか別れ別れになると受け入れるかのように僕は深くうなずいた
あのころからだいぶ経った時の流れのはかなさと切なさを抱いて
見つめる先に見えた景色はたぶん一生忘れられない時間なんだろう この先も変わらないさ それだけは
どんなに時が経って二人眠るように目を閉じ花に囲まれても
暗闇に埋もれても。