詩人:甘味亭 真朱麻呂
通り過ぎてゆくいくつもの日々
そして今日も気づけばやがて遠い過去になる
昨日が今いる今日になったのと同じようにいつかの今日みたいに
明日もまた同じことを考えるのかなあ
通り過ぎてゆく過去を後ろにして
走り出すのは常に前へと進むだけ
それしかできない戻れない道をいつでも歩いてゆくのさ
僕はそれをわかっていながらいつかくるまだ見ない終わりさえわかっていながら 巡りくるいくつもの明日に身をまかし 新しい今日は今日の風に身体をあずけ僕は生きてる
生と死を淀みなく繰り返す世界の端っこで誰かがまた今日もどこかで永遠の眠りにつくのかなあ
泣きじゃくっている人たちに囲まれ見送られるのかな
目を閉じその生涯を閉じるのかなあ
人は短い人生や長い人生と人により様々な時間の中で生きるけれど誰もがきっと自分なりの確かな足跡をそこにつけるんだ 心の奥底に花を咲かすように 生きた証を残す 生きてきた確かなしるべと誇りを誰かの心にも残すように 残るように陽射しが差すかのように 夢から覚めたように僕は気付くんだ なくしてはじめてわかること その小さな光が大切なかけがえのないもう戻らないものだったんだと 気づけなかった自分の愚かさに押しつぶされた後
尊さが増し苦労をかけたことの申し訳なさがきっと一気にあふれ胸を鋭くとがった気持ちが突くだろう その瞬間…
僕もいつの日かもっともっとかけがえのないものをなくすかな だからその前に だからこそ戻らないものがもうふれることさえできないくらい遠く遠くなり
感謝のありがとうの言葉さえ交わせなくなる前に その存在のありがたさに気づけなくなる前に
もう僕は大切なものなくしたりしたくないさ でも本当に悲しいのはなくす前じゃなくなくした後でその大切さにやっと気づき自分を愚かな奴だったとむなしい気持ちで嘆き責め立てるその心だから
湧き出た涙