詩人:甘味亭 真朱麻呂
 
こんな今日もいつか過去になる 
遠い過去になって遠い過去として 
ただ今みたいにたばこを吹かしながら 
きっときっときっと 
何ひとつ変わらない頭で星空をこうして少し切なさも丸みをおびてやわらかくなってきた歳の頃に
見る空はどんな表情(かお)を僕にみせ僕はどんなふうにみて 
どんな姿を想像しその時の僕にはどう映り見えるのだろうかな 
せめて 
今日みたいにただ綺麗だと思うように願う 
思ってくれればいいと思う 
それ以外何も望まない 
今の心この心さえ 
保てればなんにしても
あの星空よりは 
綺麗じゃなくても 
いつまでもそんな心や気持ち 
綺麗なものをただみて綺麗だと思えるような当たり前な気持ち…思える心でいられれば 
そんな心を持った僕でいられればいい 
 
少し気付いてみたら 
結構恥ずかしいせりふだということに気付いて 独り言を連発する僕に二度と戻らぬゆえの美しさなんだと永遠はないんだよといわんばかりのこれ以上はない美しさ僕に精いっぱい伝えてる 
みんな輝いてる 
それぞれ 
この世界中の人々のように違う光を発し見えないところで人知れず積み重ねる苦労を…だとか言ってた 
なんてなんてなんて少しおやじ臭いななんてなんてなんて 
つぶやく口元をゆるめかすかそっとほほえんだ 時に身をあずけるように流れ去った過去に 今日に手を振り終わりゆく人生に乾杯をした特別な夜だから 今夜はそんな一生の中でも特別な気がするから 
なんてなんてなんて言いながら僕ははにかんで 夜空にひとり乾杯 途端ラジオから流れ出すのは今日とこれからをつなぐにふさわしい決意の夜を飾るロマンチックなオーケストラ 
心も洗われるような気持ちで酔いしれる 
酔いしれた…いつかの夜 もう今では 遠い過去の夜になってた 
気付いてみたら振り返る瞳にふっとよみがえったのはなぜかあの夜でした 
あの夜でした。