詩人:トケルネコ
鬼が来る
乳房を触りに
あたいの乳房を
鬼が来る
夜に跨ってくる
生首を背負って
だれのくびだい?と問う
ざいにんだぁざいにんだぁと鬼
あたいの乳房を触る
鬼が来る
あたいは寝たふりをする
鬼はたりないのかぁたりないのかぁと消えた
彼はどこへ行ったの?
なにをしに往ったの?
あたいの腹の中がまた、蠢く
春が来る
夏が来て秋が過ぎ冬の夜が来る
鬼は来ない
あたいは乳房を触る
赤子に乳を含ませる
…笑わない赤子に
テレビを点ける
乾燥機を回す
『鬼が来る 』
赤子が哂いだす
貌は生首のように青黒い
鬼は乳房に吸い付く
乾燥機が回る
テレビのニュースではまた・・・
ざいにんだぁざいにんだぁざいにんだぁざいにんだぁざいにんだぁぁぁ
赤子は眠った
鬼は還った
あたいの乳房をゆっくりと吐き出して