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詩人:アイカ
膝の下は血の海で
それが
どうしてか
思い出す事
できないでいる
春にしては
酷く寒くて
こんな時に限って
誰とも
繋がれないで居る
いつの間にか
降りる駅を
過ぎていて
気がついたら
周りに誰も
居なかったのさ
それが
私には少し
悲しすぎたから
私には少し
寂しすぎたから
このまま終点まで
目を閉じて
座って居たかった
その紙は
破いて捨てて
私の面影まで
最初から
なかったことに
してよ
目線の先
連なる階段を登るのが
おっくうで
濁った
蛍光灯に照らされた
藍色の四角い空を
下からずっと
見上げてた
悔しくて掌に
爪が食い込むほど
空気を握り潰した
終点の先
あるのはきっと
真っ暗闇で
終点の先
あるのはきっと
夜を翻す風だけ
そう分かって
しまったから
私の存在を
早く消してよ。と
ひっそり
こっそり
呟いたんだ